2021年2月13日土曜日

映画「8番目の男」

- 法は人を罰しないためにある
  冤罪を防ぐために必要な基準
  むやみに処罰できないように設けた基準が法である -

 画像:映画.comより

2008年に韓国で初めて導入された国民参与裁判
(日本で言うところの裁判員裁判ですね)
その記念すべき第一回目の裁判
初めて一般人が参加する裁判のため
わかりやすい事件が用意された
証拠はそろっている
凶器、目撃証言、犯人の自白
検察も、弁護士も、裁判官さえも有罪を確信していた

裁判当日
選ばれていた8人の陪審員のうちのひとりが失格となり
急きょ補欠で呼び出されてしまった"8番目の男"
優柔不断で何も考えていないように見えて
実は誰よりもしなやかで頑固
ふと浮かんだ疑問を見過ごすことができない
そんな彼の疑問にいらだちながらも
答えを探していく陪審員たち


 画像:映画.comより

全員一致の判決は出せるのか
陪審員たちが出した答えに
裁判官はどう応えるのか

主役の"8番"=クォン・ナム役はドラマ「花郎<ファラン>」で
ジディ=真興王役だったパク・ヒョンシク
元アイドルのオーラをみごとに消してw
地味で冴えない8番くんを好演しています

 画像:映画.comより

実在の事件をもとにしているというストーリー
裁判のプロである裁判官、検察、弁護士が
証拠がそろっているがゆえに見過ごしてしまっていたことを
一般人が素人目線でひとつひとつ確認していきます
日本でも始まっている裁判員制度
自分以外全員が黒と言っているとき
それでも自分は白/黒の確信が持てない、というときに
勇気をもって"グレー"という言うことができるか?
テーマはすごく重いはずなのに
それをぜんぜん感じさせない"8番"くん
彼のふんわりとした無邪気な雰囲気と
巻き込まれる周りの人たちの"悪い人じゃない"感が
なんだかほっこりとさせてくれる作品でした

日本公開: 2019年11月

「8番目の男」公式サイト

2021年2月4日木曜日

本「往復書簡」湊かなえ著

交わされる手紙だけで綴られた3つの短編小説。

「十年後の卒業文集」
高校の放送部員の仲間が、結婚式に出席するために
10年ぶりに再会するところから始まる
6人の仲間のうち1人だけ現れなかった千秋
なぜ千秋が現れなかったのか
10年前何があったのか

「二十年後の宿題」
教師になった男が自分の小学生時代の恩師に頼まれて
彼女のかつての教え子たちを訪ね歩く
自分が引率した課外活動でおきたある"事件"
体験した子どもたちの今の様子を調べて欲しいという依頼
なぜ恩師は彼にそれを頼んだのか?
 *この話は映画「北のカナリアたち」の原案らしいのですが
  あれ??っと思ってしまったくらいぜんぜん違う話。
  起きる"事件"は同じだけれど、その周りの話も結末もぜんぜん違いました。

「十五年後の補習
起こる"事件"そのものも、起こる背景も、人の心の闇の部分が見え隠れする
本当のことが語られているはずの手紙の中に嘘が混ざっている
どこまでが本当でどこからが嘘か?なんのための嘘か?
真実がわかったとき、二人はどうするのか?

3つとも過去のある"事件"の真相を突き止めるために手紙が交わされる。
手紙を書いてから相手が読むまでの物理的な時間差と
その時間差の中で生まれる心の変化。
相手が見えないから生まれる疑問があり
見えないからこそ見えてくる真実がある。

著者: 湊かなえ
読了: 2018年2月


「往復書簡」幻冬舎


ドラマ「地獄が呼んでいる」(全6話)

ある日突然 なんの前触れもなく目の前に現れる顔 その顔がこう告げる 「お前は○○後の××時に死ぬ  そして地獄へ行くことになる」と その予告から死までの時間は人それぞれ 数年後の人もいれば、ほんの数十秒後の人もいる 予告された時間になると 3体の怪物のような使者が現れ 対象者を暴...