2020年4月26日日曜日

本「イリュージョン」リチャード・バック著

著者はリチャード・バック
かもめのジョナサンで有名な人

初めて読んだのはン十年も前
もう何度読み返したからわからない
ストーリーはとても静かに展開するのだけど
読了後は価値観が一変してしまうような衝撃をうけた
目の前のものが本当に存在しているのか疑いたくなる感覚

イントロダクションは不思議な救世主の話
本編は著者を思わせるリチャードという名のパイロットの話
彼は旅をしながら、滞在先の人々を飛行機に乗せ
短い遊覧飛行をすることで生計を立てていた
その旅の途中で出会うもう一人のパイロット
しばらく共同で仕事をするうちに
彼の不思議な力を目の当たりにする
彼はいったい何者なのか

翻訳は村上龍
この翻訳がかなり独特

第11章の冒頭

(原文)
You are never given a wish
 without also being given the power to make it true.
You may have to work for it, however.

(村上龍訳)
ある願望が君の中に生まれる。
その時、君はそれを実現させるパワーが
同時に在ることに気付かねばならぬ。
しかし、そのパワーの芽は、
きっとまだ柔らかい。

パワーの芽がまだ柔らかいなんて訳
凡人にはちょっとまねできない
と、思う

2020年4月20日月曜日

映画「母さんがどんなに僕を嫌いでも」

子どもの頃の母の思い出
きれいで、いい匂いがして
でもどこかさびしそう

太っていて、どんくさいタイジは
完璧主義の母には受け入れがたい存在だった
身勝手な都合で一時的に施設に預けられ
連れ戻されたあともまた虐待が繰り返された

少し大人になったタイジは
ある日、キレた母から絶望的な言葉を浴びせられ
とうとう家を飛び出し
新しい生活を始める
うまくやれること、やれないこと
虐待の記憶が心と体に染みついて
作り笑いがやめられない

そんな時、以前家の工場で働いていた"ばあちゃん"と再会する
病で残された時間があまりないばあちゃんが
タイジにひとつだけお願いがあると言う
「たいちゃんには本当に笑ってほしい」

タイジを心配し続けるばあちゃんと
作り笑いの後ろの本当のタイジに気づいてくれる友人たち
彼らの存在に癒され、母の秘密を知ったとき
タイジはまた母と向き合う決意をする

これも実話だというのがまたびっくりでした

タイジ役は太賀(昨年仲野太賀に改名)
いい役者さんですね
この役に他の人はもう考えられないくらいぴったりでした

公開:2018年11月

 画像:映画.comより

2020年4月19日日曜日

映画「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。」

おもしろい!

もう理屈抜きで榮倉奈々ちゃん演じる奥様ちえちゃんの
全力の死にっぷりが文句なくおもしろい!

日に日に疲弊していくだんな"じゅんさん"=安田顕に反して
観客として見ているこっちは毎回大ウケです
確かにこれが毎日だと疲れるかもしれないがw
これ、元ネタはYahoo!知恵袋に悩み相談として
実際に投稿されたものだというのが驚きです

最初の結婚が3年でダメになりバツイチだったじゅんさんは
ちえと再婚する際、3年目にお互いの気持ちを確かめ合おうと約束していた
その3年目を目前に突然始まった妻の死んだふり
なぜちえは毎日こんなことをするのか?
何を訴えているのか?

とにかくこの二人の夫婦がかわいくておもしろい
すごく変だけど、すごく普通
なので余計なこと考えずに楽しめて笑えて泣ける
あったかいお話です

「月が綺麗ですね」

 画像:映画.comより
公開:2018年6月

2020年4月18日土曜日

映画「ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー」

原題「Rebel in the Rye」

ジェリーは作家を目指す大学生
反抗心が強く皮肉屋で周囲とそりが合わず転校を繰り返していた
文芸誌「Story」の編集者でもあった講師バーネットとの出会いで
彼は"書くこと"にのめり込んでいく

Are you willing to devote your life to tell the stories
knowing that you make it nothing returned?
君に 生涯を賭して物語を語る意思はあるか
何も見返りが得られなくても

バーネットからのこの問いかけの答えを探しながら
戦争に巻き込まれ、それでも書き続け悩み続ける
戦争で心を病みながら書き続けた彼の作品は
徐々に大きな雑誌に掲載されるようになる
新しい編集者との出会い
書き換えを要求する出版社との争いを経て
出版された物語若者に絶大な支持を受け
大ベストセラーとなるが
今度はその異常なまでの人気に悩まされることに

ジェリーの才能をいち早く見抜いていたバーネット
彼がいなかったら作家サリンジャーは生まれたなかったかも
疎遠になっていたバーネットがジェリーに会いに行くシーンが
とても印象に残りました
その作品の魅力も、晩年の隠居生活の理由も描かれていて
きっと映画を見た後に、読んだことある人は読み返したくなる
読んだことない人は読んでみたくなるんじゃないかな

日本公開:2019年1月

 画像:映画.comより

予告編

2020年4月16日木曜日

映画「おくりびと」

日本アカデミー賞で最優秀作品賞
本家アメリカのアカデミー賞で外国語作品賞
肩書の派手さに反してとても静かでゆったりとした作品です

主人公小林大吾はチェロの奏者
所属していたオーケストラが急遽解散することになり
実家のある山形で暮らすことにする
母が亡きあと、実家は空き家になっていた
新聞で見つけた「旅のお手伝い」という求人広告
てっきり旅行会社だと思って面接に行ってみると
募集していたのは納棺師という遺体を棺に納める仕事だった

初めはいやいやで、すぐにでもやめたいと思っていた大吾も
自分を強引に連れまわす社長の仕事ぶりと
それぞれの死者とその家族を見つめていくうちに
次第に気持ちに変化が現れる
大吾の仕事を文字通り忌み嫌っていた妻や同級生も
だんだんと変わってくる

納棺の儀
そこで示すご遺体への敬意と配慮
その儀式を通じて、静かに、でも確実に死を受け入れていく遺族
大吾が奏でるチェロの響きと納棺の儀式の所作が
流れるように美しかった

公開はもう12年も前なんですね
あれから自分も父を見送ったりしたので
初めて見た時とまた違った感動がありました

「石」のエピソードが泣けます

 画像:映画.comより

公開:2008年9月

2020年4月15日水曜日

映画「しゃぼん玉」

http://www.shabondama.jp/
原作は乃南アサの同名小説。未読。

ひったくりを繰り返し
とうとう人を刺してしまって逃亡中の"イズミ"が
山道に倒れたバイクを見つける
鍵が付いたままのそのバイクを盗んで逃げようとしたときに
けがをして道端に倒れていたバイクの持ち主の"ばあちゃん"が声をかける
何故か言われるがままにばあちゃんを助け
イズミをばあちゃんの孫と勘違いした近所の人たちに
あれこれ世話を焼かれ、逃げられなくなるイズミ
ばあちゃんや近所の人やそこで出会う人たちとの交流で
自暴自棄だったイズミの心が少しずつ変化していく

イズミ役は林遣都
ばあちゃん役は市原悦子、最後の出演映画だそうです
市原悦子の独特の声、話し方、存在感
そんなことあるわけない、というちょっと出来すぎな話なのですが
何故か"ばあちゃん"の圧倒的なリアリティで
イズミと一緒にばあちゃんのペースに巻き込まれてしまいます
突然現れたばあちゃんの息子とのやり取り
「ぼうはええ子」と繰り返しイズミの頭をなでる
その時々のばあちゃんの思いに胸が詰まります
特に、走り去る車をただ見送るばあちゃんの姿は
それだけでこの映画見る価値ありかも

 画像:映画.comより

公開:2017年3月

ドラマ「地獄が呼んでいる」(全6話)

ある日突然 なんの前触れもなく目の前に現れる顔 その顔がこう告げる 「お前は○○後の××時に死ぬ  そして地獄へ行くことになる」と その予告から死までの時間は人それぞれ 数年後の人もいれば、ほんの数十秒後の人もいる 予告された時間になると 3体の怪物のような使者が現れ 対象者を暴...