2020年12月19日土曜日

映画「半世界」

小さな田舎町
コウ(稲垣吾郎)は父親の跡を継いで炭焼き職人をしている
ある日、同級生で自衛隊員で北海道にいるはずのエイスケ(長谷川博己)が現れる
離婚してひとりでまたこの町に住むという
空き家状態で荒れ果てていたエイスケの実家を
もう一人の同級生ミツヒコ(渋川清彦)と3人で片付けていると
エイスケが突然泣き出す
過去のトラウマを抱えるエイスケ
彼は何を見てきたのか

稲垣ゴローちゃんの炭焼き職人と
長谷川博己の元自衛官というのが
なんだか似合わなくてミスキャストでは?
と思ってしまったのだけど
実はそこがミソで
コウもエイスケも
似合わない世界でぎこちなく
でも懸命に生きている
そんな姿を見せたかったのかも

エイスケの見えない過去の向こう側にある世界と
コウやミツヒコが暮らすちっぽけな世界
みんなそれぞれの生活に追われながら
何も考えずにバカをやっていたころに思いをはせる
タイムカプセル的に地中に埋められた缶を探すエイスケ
二等辺三角形じゃなく、正三角形だと主張するミツヒコ
「あまったれんじゃないよ」というコウの口グセ
あの頃の自分は何を考え何を感じていたのか

「お前らは世間しか知らない
 世界を知らない」

そう言っていたエイスケが最後につぶやく

「こっちも世界」

コウの奥さん役は池脇千鶴
泣きます
泣かされます
さすがです!

公開:2019年2月

 画像:映画.comより

映画「半世界」公式サイト
予告


2020年12月18日金曜日

ドラマ「きみはなぜ絶望と闘えたのか」

 「光市母子殺害事件」
と聞けば、裁判を戦い続けた遺族の顔を覚えている人も多いのでは
少年法のみならず、裁判での被害者遺族の位置づけや
裁判官の考え方まで変えてしまうほどの大きな影響があった事件

事件そのものも残酷極まりないものだったけれど
その裁判は、遺族をさらに傷つける残酷で理不尽なものだった

このドラマは、事件を追い続けた記者が書いた
同タイトルの著書をベースとしたフィクション
(よってドラマの中の人物名は仮名です)

町田道彦(眞島秀和)はある日仕事から帰ると
部屋に電気はついておらず、居るはずの妻と娘が見当たらない
妻の実家に電話をかけ、何か聞いていないかと尋ねる
義母は何も聞いていないが、娘が急に熱でもだして病院に行ったのではと
出かけるときに持ち出すおんぶ紐やバッグを探してみるよう促す
言われた通り押入れを開けるとそこには変わり果てた妻の姿が...

加害者は18歳の少年
少年法に守られる加害少年の人権
町田が事件の内容を詳しく知ることができたのは初公判でだった
それでも傍聴できただけでましな方だったという
数年前までは、少年審判は被害者遺族は傍聴できないどころか
加害者の名前や事件の内容すら教えられないこともあったという
裁判に遺影を持ち込もうとした町田を制止する裁判所職員
理由を説明しろと食い下がる町田に伝えられた裁判長からの言葉は

「裁判は裁判官、検察官、被告人の三者でやるもの
 被害者に特別なことは認められていない」

いったい裁判は誰のために、何の目的でやっているのか

被害者も遺族も、断りなく実名で報道されるのに
なぜ犯罪を犯した人間の人権だけが守られるのか

死刑の是非についはまた意見が分かれるところ
刑確定の後に北川が被告に会いに行くシーンは
ちょっと意外というか、なぞというか
考えさせられる内容になってます

事件を追う記者 北川役は江口洋介
ドラマ的に主演は江口洋介なのだけど
町田くん役の眞島秀和が、記憶にある本人に少し似ていてとてもリアル
きっと気弱で人のいい普通の青年だった町田くん
日本中の注目を浴びることなど望んでいなかった
ただ普通にあたりまえの生活がしたかっただけなのに

最後の判決の後、喫茶店でのふたりのシーン
胸がしめつけられます

ぼくはただ
家族がいて
ごく当たり前の会話をして
一緒にごはんを食べて
風呂に入って
おやすみなさい
おはよう 言って
一緒に笑ったり 怒ったり 感動して
何にも...何にも特別なことが起こらない時が過ぎて
一緒に年を取っていって
誕生日やクリスマスをお祝いして
それで...

2010年 WOWOWにて視聴
東映公式サイト

2020年12月11日金曜日

映画「真実」

フランスの有名女優が自伝本を出した
タイトルは「真実」
その出版祝いに娘が家族をつれて訪ねてくる
娘はアメリカで脚本家として働いている
出版された本を読んで娘は激怒する
子どもの頃のエピソードは嘘ばかり
そして大事なことは書かれてなかった
良い母になるより、女優を選んだと言い切る母
そんな母が許せない娘

有名女優役はカトリーヌ・ドヌーブ
娘はジュリエット・ビノシュ
監督は是枝裕和

日本人が日本語じゃない映画を監督するってどんな感じだろう?
と思って見ましたが、全然違和感なかったです
そして劇中劇を演じる俳優ってすごいなぁって思います
会心の演技はもちろん、イマイチ納得がいかないという演技
そして演技していない素の演技
それぞれをちゃんと演じ分ける姿に感動してしまいます
それを引き出す監督ってやっぱりすごいのかも

いつもの是枝作品の雰囲気
静かにすすむストーリーの中に
それぞれの感情をじっくりと描く
対立する母娘を取り巻く人たち
母の現夫と元夫、執事のような秘書と、娘の夫
この男たちが大女優とその娘のギスギスした関係を
やんわりじんわりほぐしていきます
母の共演者の女優たちもすてきです

そしてやっぱり母と娘のシーンが良いです
ずっと意地をはっていた母が
娘にちらっと本音を漏らすところ
それこそが「真実」

公開:2019年10月

映画「真実」公式サイト




ドラマ「地獄が呼んでいる」(全6話)

ある日突然 なんの前触れもなく目の前に現れる顔 その顔がこう告げる 「お前は○○後の××時に死ぬ  そして地獄へ行くことになる」と その予告から死までの時間は人それぞれ 数年後の人もいれば、ほんの数十秒後の人もいる 予告された時間になると 3体の怪物のような使者が現れ 対象者を暴...