2020年10月31日土曜日

映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」

舞台は32年前の架空の町の小さなお店 ナミヤ雑貨店
そこの店主が町の人々の悩み相談を受けている
100点取りたいという子ども
自分の行く道を迷うミュージシャン
不倫相手の子どもを身ごもった女性
客に店を持たせてやるから愛人になれといわれるホステスなど
かわいいものから重いものまで悩みも様々
店のシャッターの郵便受けに差し込まれる手紙
そこから受け取った悩みは
その大小に関わらず真剣に考えてきっちり返事を書く
返事は表の牛乳配達ボックスの中へ

そして舞台は32年後へ
何か事件を起こして逃走中の青年3人組
車がエンストして、偶然逃げ込んだのがこの雑貨店
すでに閉店していて空き家となったこの店で奇蹟が起こる

原作未読です。
エンドロールを見るまで、東野圭吾原作とは知ませんでした
こういう話もあるのですねw
奇蹟が奇蹟とわかるまでに3段階くらいのストーリーがあって
それらが最後に繋がってほっとして、あったかい気持ちになります
この悩み相談は、書かれた答えそのものよりも
誰かがちゃんと話を聞いてくれて、真剣に考えて答えてくれた
ということが大事なんだなーって思いました

3人組のひとり 村上虹郎くんがすごく良かった
一番地味な子を演じてたのは佐藤浩市の息子だそうです

公開:2017年9月


2020年10月30日金曜日

映画「チョコレートドーナツ」(原題:Any Day Now)

1979年 カリフォルニア
ショーダンサーとして働くゲイのルディ(Alan Cumming)
アパートの隣には障がいを持つ少年マルコが
母親とふたりで暮らしていた
母親が男を連れ込むたびに
昼夜問わず部屋の外へ出されるマルコ
ある日その母親がドラッグの所持で逮捕され
マルコは福祉局の職員がどこかの施設へ連れていく

気になりつつも日々の生活に追われていたルディが
夜中に街をひとりで歩いているマルコを発見する
施設を抜け出し家に帰ろうとして迷子になっていた

マルコを引き取って育てたいと奔走するルディと
弁護士のボーイフレンド ポール
たとえどんなにひどい母親でも
実母から子どもを引き離すことは簡単ではない
彼らがゲイであることが、さらにそれを難しくする

70年代に実際にあった話が原作
弁護士、判事、上司、福祉施設の人々
自分をまともだと思っている人が、実は一番やっかいで残酷
自分のものさし、自分の価値観でしかものが見られない人々
自分と違うものを否定し、憎悪し、攻撃する。
最後にポールから届いた手紙を読んだあの人たちは
この問題をどう受け止めたのか?

何が正しくて、何が間違っているのか
子どもにとって最適な環境とはどんなものか
それを判断するのは誰か

悲しいお話なので、泣くのは覚悟して
でもきっと見終わったら人にやさしくなれるはず



http://bitters.co.jp/choco/

公開:2012年4月


原題「Any Day Now」について

"Any Day Now" というフレーズは
劇中でルディが歌う "I Shall Be Released" の
歌詞の中にありました。

Any day now, any day now, I shall be released.

オリジナルはボブ・ディラン。
たくさんのアーティストがカヴァーしていて
シンプルでわりと短い歌詞なため解釈は諸説あるようです。
もともとはRubin Carter事件という冤罪事件の歌で
「今にでも、俺は釈放されるべきだ」と歌っているという説に
説得力があると思いました。

Released は"解放される"とか"自由になれる"とか、そんな感じ。

この映画の中で、ルディはエンディングを少しアレンジしていて

I swear, I swear, my love, we shall be released.

と歌っています。
 "I swear" 
「自由になれるだろう」ではなく
「自由になる、なってやる」と誓うこと。
そして "Any Day Now" というタイトルは
その日が遠い未来じゃなく
今日にでも、今にでも
という強い決意を表しているのかなと思いました。

2020年10月29日木曜日

映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」

 「人間は、恋と革命のために生まれてきたのだ」
大ベストセラーとなった「斜陽」の有名なフレーズは
実は愛人が日記にしたためていた言葉だった




「人間失格」という小説の映画化ではなくて
作家 太宰治の晩年を描いたストーリーです。
とはいえ、太宰作品はそもそも私小説っぽいので
リンクするがシーンも多々あります。

監督は蜷川実花。
さすがと言いたくなる「色」のきれいさで
どこでストップしてもきっと絵になるんじゃないかと思うほど。
画面がいちいちほれぼれするほどきれいです。
演出の方は...、やっぱりところどころ芝居くさいというか
「いかにもセリフ」的なちょっと残念なシーンがあったなぁ…と
でも、全体的にはOK👌
前作「ヘルター・スケルター」よりはだいぶよかったと思いますw

映画をみても小説を読んでも
とにかくどうしようもないろくでなしにしか思えない太宰治。
小栗旬が、このろくでもない太宰のろくでなし感を全面に出しつつ
女たちがなぜか惹かれてしまう魅力をうまく醸し出してたと思います。
一見、太宰にだまされ振り回され翻弄されているような女たち。
実は振り回していたのは女たちの方だったのかも?

妻に悪いと言いつつ愛人として生きる決意し
太宰の子を身ごもる静子=沢尻エリカ
愛人の存在を知りつつ
夫を天才と信じて家で待つ妻 美知子=宮沢りえ
妻にも静子にも嫉妬し、太宰を自分のものにするために
死を選んだ富栄=二階堂ふみ

特に沢尻エリカ演じる太田静子という人物は気になりました。
「斜陽」の人。彼女が書いた「斜陽日記」を読みたいと思いました。

突然現れた三島由紀夫=高良健吾!
太宰文学がきらいだと本人に言ったエピソードは
(タイミング違うようですが)実話だそうです。
三島由紀夫作品も読みたくなりましたw

あと、ちょっとしか出てないけど藤原竜也とのシーンも良かったです。

小説を読んでおくとこの映画が楽しめるし
この映画を見ておくと背景がわかってより小説が楽しめる
そんな気がしました。
太宰だけじゃなく、この時代の他の作家の作品も読みたくなりますよ。

http://ningenshikkaku-movie.com/

公開:2019年9月

ドラマ「地獄が呼んでいる」(全6話)

ある日突然 なんの前触れもなく目の前に現れる顔 その顔がこう告げる 「お前は○○後の××時に死ぬ  そして地獄へ行くことになる」と その予告から死までの時間は人それぞれ 数年後の人もいれば、ほんの数十秒後の人もいる 予告された時間になると 3体の怪物のような使者が現れ 対象者を暴...