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2021年3月6日土曜日

本「漁港の肉子ちゃん」西加奈子著

明石家さんまプロデュースで
大竹しのぶが"肉子ちゃん"の声を担当することで
話題となっているアニメ映画
その原作を2015年に読んだときに書いた感想です



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"肉子ちゃん"はもちろんあだな
本当はキクコさん
漁港にある焼肉屋さん<うをがし>で働いている
丸々太っているからみんなに肉子ちゃんと呼ばれている
肉子ちゃんは娘と二人暮らし
美人で頭の良い女の子
娘の名前もなぜかキクコ
母は菊子、娘は喜久子
物語はこの娘の視線ですすむ

前半は娘の現在の生活の話
母との生活
クラスメイトの女子同士の戦い
ちょっと変わったクセのある男の子
突然現れた雑誌のカメラマンへの憧れ
かっこいい女・マキさんの東京での過去 云々

後半は肉子ちゃんの過去と秘密
泣かせる話なんだけど、泣けない
肉子ちゃんが泣かせてくれない
みんななぜか笑ってしまう

そんなお話でした

この本は、男性のお友だちから
「女性が読んだ感想が聞きたい」
というリクエストがあって読みました
確かに女の性(サガ)ってやつがぎゅっとつまった1冊
小学生女子のいじめともケンカともつかないようないざこざは
"女の子"を経験したことがある人なら
きっと誰でもチクチク感じる場面と思う
キクコ、マリアちゃん、金本さん、その他のとりまき
どの子の立場も気持ちもそれぞれなぜかよくわかる
ああはなりたくない、巻き込まれたくないと思いつつ
その場の状況でどの子にもなり得る
それが女って生き物なのかも

でも全体的にぜんぜんドロドロした話じゃなくて
意外にさらっと読めてしまいます
それはきっと肉子ちゃんのおかげ
肉子ちゃんのキャラがキョウレツだけど憎めなくて
すべて許せちゃう
というか、逆かな
肉ちゃんがそばにいるだけですべてが許される気がします
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劇場アニメ映画「漁港の肉子ちゃん」
今年6月11日公開だそうです

  劇場アニメ映画「漁港の肉子ちゃん」公式Twitterより

2021年2月4日木曜日

本「往復書簡」湊かなえ著

交わされる手紙だけで綴られた3つの短編小説。

「十年後の卒業文集」
高校の放送部員の仲間が、結婚式に出席するために
10年ぶりに再会するところから始まる
6人の仲間のうち1人だけ現れなかった千秋
なぜ千秋が現れなかったのか
10年前何があったのか

「二十年後の宿題」
教師になった男が自分の小学生時代の恩師に頼まれて
彼女のかつての教え子たちを訪ね歩く
自分が引率した課外活動でおきたある"事件"
体験した子どもたちの今の様子を調べて欲しいという依頼
なぜ恩師は彼にそれを頼んだのか?
 *この話は映画「北のカナリアたち」の原案らしいのですが
  あれ??っと思ってしまったくらいぜんぜん違う話。
  起きる"事件"は同じだけれど、その周りの話も結末もぜんぜん違いました。

「十五年後の補習
起こる"事件"そのものも、起こる背景も、人の心の闇の部分が見え隠れする
本当のことが語られているはずの手紙の中に嘘が混ざっている
どこまでが本当でどこからが嘘か?なんのための嘘か?
真実がわかったとき、二人はどうするのか?

3つとも過去のある"事件"の真相を突き止めるために手紙が交わされる。
手紙を書いてから相手が読むまでの物理的な時間差と
その時間差の中で生まれる心の変化。
相手が見えないから生まれる疑問があり
見えないからこそ見えてくる真実がある。

著者: 湊かなえ
読了: 2018年2月


「往復書簡」幻冬舎


2020年6月14日日曜日

本/映画「世界から猫が消えたなら」川村元気著

「人間が猫を飼っているわけじゃなくて
 猫が人間のそばにいてくれているだけなのよ」

再々読了。つまり3回目。

最初に読んだのは正確にいつかは覚えていないけど
まだ父が健在で、でも文庫版をB●●KOFFで買っているので
たぶん2015年の初めころ。

2度目に読んだのは映画が公開されたあと。
その間に父や友人が亡くなったりして
最初に読んだ頃よりひとつひとつの言葉が心に染みました。

そして、猫を飼い始めた今。
そのぬくもりを肌で感じることができる存在が目の前にいる。
それが失われることを想像しながら読むというのは
今までと比べ物にならない感情の動きがありました。
電車で読んでいて思わずうるうる
マスクがあってよかったと、この時ばかりは思いましたw

大事なものを失ったことがある人ほど
この本に込められた思いが実感できると思います。

以下、2017年に映画版を観たときの感想です。

***
「何かいい物語があって それを語る相手がいる
 それだけで人生捨てたもんじゃない」

主人公とその親友、そして元カノが映画好きの設定で
実在の映画のいいセリフがいいところで使われています。
上のセリフは「海の上のピアニスト」から。
原作をぱらぱらっと探してみたけど
このセリフを語るシーンは見当たらなかったので
映画用に加えたシーンかも。
映画の中で2回出てきます。2回目が泣けます、、、。
「ライムライト」のセリフは原作にも登場します。

原作既読。原作とは少し主人公の雰囲気が違うかも。
映画の方が少しキレイめにまとまってたような。
原作の子はもう少しチャラい感じです。
佐藤健くんの方は少し落ち着いてておとなしくていい子。
彼が猫を抱くシーンがたくさんあるけどいちいちツボですw
限りある命とか、人との関わりの大切さとか
当たり前すぎて語るのが恥ずかしいようなテーマだけれど
それでもやっぱりお母さん、親友のツタヤ、元カノ、猫のレタスとキャベツ
そしてお父さん、それぞれのシーンがやっぱり泣けてしまいました。

お母さんの手紙は反則です。
「いつまでもあなたの素敵なところが そのままでありますように」

映画公開: 2016年5月


2020年4月26日日曜日

本「イリュージョン」リチャード・バック著

著者はリチャード・バック
かもめのジョナサンで有名な人

初めて読んだのはン十年も前
もう何度読み返したからわからない
ストーリーはとても静かに展開するのだけど
読了後は価値観が一変してしまうような衝撃をうけた
目の前のものが本当に存在しているのか疑いたくなる感覚

イントロダクションは不思議な救世主の話
本編は著者を思わせるリチャードという名のパイロットの話
彼は旅をしながら、滞在先の人々を飛行機に乗せ
短い遊覧飛行をすることで生計を立てていた
その旅の途中で出会うもう一人のパイロット
しばらく共同で仕事をするうちに
彼の不思議な力を目の当たりにする
彼はいったい何者なのか

翻訳は村上龍
この翻訳がかなり独特

第11章の冒頭

(原文)
You are never given a wish
 without also being given the power to make it true.
You may have to work for it, however.

(村上龍訳)
ある願望が君の中に生まれる。
その時、君はそれを実現させるパワーが
同時に在ることに気付かねばならぬ。
しかし、そのパワーの芽は、
きっとまだ柔らかい。

パワーの芽がまだ柔らかいなんて訳
凡人にはちょっとまねできない
と、思う

2020年3月1日日曜日

本「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」ブレイディみかこ著

"ぼく"はイギリス在住の中学生
母親が日本人、父親は白人、見た目はアジア系
祖父母が九州に住んでいるので
日本に行ったことはあるが日本語はほとんど話せない
本のタイトルはこの"ぼく"が
自分のアイデンティティについて感じたことを表したもの

本書はこの"ぼく"の母親 (=異国で暮らす日本人) が
人種の違う夫と
ふたりをかけ合わせた息子との3人の生活
学校や地域社会での経験をつづったエッセイです

生まれ育った国とは違う国で生きていくこと
人種、国籍、生活習慣、ものの考え方が違う人々との生活
理解できること、できないこと
日本を出てみないと見えないことがある
でもその反面
どこの国にいても
人は同じように悩んだり、人とぶつかったりして
いろんなことを感じながら
手探りで生きていくんだなぁ
なんてことを思いました

2020年2月8日土曜日

本「坂の途中の家」角田光代著

負のスパイラル
抜け出してしまえば何てことはないのに
その渦の中にいるときは
自分を思って発せられた言葉も、行為も、贈り物も
すべてが悪意に満ちた攻撃に思える
自分はダメだと、普通のこともできない人並み以下の人間だと
見下されている気がする

理沙子は専業主婦。2才の娘の母親。
ある日裁判員の候補になったという通知が届く
選出されたその日から始まる公判
扱う事件は乳幼児虐待死
被告は生後8ヶ月になる娘を浴槽に落とし死亡させた30代の主婦
検察側と弁護側はそれぞれ正反対のストーリーを組み立てる
夫とその母親、友人、実母、そして被告本人
理沙子と同年代の被告の日常が重なる

理沙子の目を通して見た裁判、現実の生活と過去
被告に感情移入するあまり、日に日に疲弊していく理沙子に
自分も感情移入してしまうほど情景描写が秀逸でした

普通って何だろう?
理沙子は「普通」であることに囚われる。
子育てのことも、裁判員のことも、
「普通」のことができていないのではと不安になる。
自分は他人より劣っているのか?
おかしいのではないか?

裁判員
まだ私自身も周りの人にも選ばれたという話は聞いたことがないけれど
もし自分が選ばれたら、自分が感じたものが他人と違ったら
その場で自分は違うと言えるだろうか?
他人の意見に影響されて、気持ちが揺れ、迷い、悩む
その中でそれぞれの「普通」を探っていくしかないのかもしれない

著者 角田光代
読了 2020年2月

 朝日新聞社版

2020年1月30日木曜日

本「六番目の小夜子」恩田陸著

学校で密かに行われる行事「小夜子」
誰が何のために始めたのか、誰も知らない
にもかかわらず、受け継がれる"鍵"

高校生活最後の年
その初日
花瓶に生けられた真っ赤なバラが教卓に置かれる
それは小夜子が現れた合図
そして転校生がやって来る
誰もが見惚れるほどの美少女
名前は津村沙世子
偶然?それとも彼女が今年のサヨコなの?

高校最後の一大イベントである文化祭で
全校生徒参加で演じることになった舞台が
異常な緊張感と高揚感を生み、文字通りの嵐が起きる
サヨコの正体とは?

初版は1992年。恩田陸のデビュー作。
彼女の描く学校は昭和のにおいが残る
木造校舎、古い部室
たまり場の喫茶店
まだ携帯電話の無い時代
家にかかってくる電話、母親の呼ぶ声
教師が職員室で使っているワープロ

だいぶ大人になってしまった今でも
高校生の話が楽しめるかしら?
なんて思いながら読み始めましたが
そんな昭和のにおいのせいか
すんなりタイムスリップできました。
真っ暗な体育館で
私も順番を待っている気持ちになれて
ドキドキしました。
突っ込みどころはいくつかあるけれど
それを差し引いてもおもしろいと思える作品でした。

新潮社サイトより

聴く本「サラバ!」上・中・下巻

Amazon Audibleで本を聴き始めて約2年半。 この聴く読書というのは ハマる人とハマらない人がいるみたいです。 で、今また2ヵ月無料キャンペーンをしているので 迷っている人はお試ししてみたら?と やんわりおすすめするために 私が最初に聴いた本を紹介します。 たまたま【朗...