抜け出してしまえば何てことはないのに
その渦の中にいるときは
自分を思って発せられた言葉も、行為も、贈り物も
すべてが悪意に満ちた攻撃に思える
自分はダメだと、普通のこともできない人並み以下の人間だと
見下されている気がする
理沙子は専業主婦。2才の娘の母親。
ある日裁判員の候補になったという通知が届く
選出されたその日から始まる公判
扱う事件は乳幼児虐待死
被告は生後8ヶ月になる娘を浴槽に落とし死亡させた30代の主婦
検察側と弁護側はそれぞれ正反対のストーリーを組み立てる
夫とその母親、友人、実母、そして被告本人
理沙子と同年代の被告の日常が重なる
理沙子の目を通して見た裁判、現実の生活と過去
被告に感情移入するあまり、日に日に疲弊していく理沙子に
自分も感情移入してしまうほど情景描写が秀逸でした
普通って何だろう?
理沙子は「普通」であることに囚われる。
子育てのことも、裁判員のことも、
「普通」のことができていないのではと不安になる。
自分は他人より劣っているのか?
おかしいのではないか?
裁判員
まだ私自身も周りの人にも選ばれたという話は聞いたことがないけれど
もし自分が選ばれたら、自分が感じたものが他人と違ったら
その場で自分は違うと言えるだろうか?
他人の意見に影響されて、気持ちが揺れ、迷い、悩む
その中でそれぞれの「普通」を探っていくしかないのかもしれない
著者 角田光代
読了 2020年2月

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