2021年9月27日月曜日

映画「罪の声」

- 勝手な理屈で人生を奪われるのは
  いつも弱く小さな者たちだ -

 画像:映画.comより

英国式のスーツを手がける小さなテーラー
父親からその店を受け継いだ俊也(星野源)は
妻と娘と3人でささやかながら幸せに暮らしていた
ある日、クリスマスツリーの飾りを探しているとき
押入れの天袋に父の名前が書かれた箱を見つける
箱の中には父が生前使っていたらしい道具や
自分が子どものときに遊んだおもちゃなど
ガラクタのような古い細々したものが詰まっていた

そこに黒革の手帳と「1984」と書かれたカセットテープを見つける
手帳には英語でびっしりとメモが書かれていた

俊也は古いプレーヤーを引っ張り出して
そのカセットテープを聞いてみる
自分らしき子どもが当時の流行歌を歌っている
はやし立てる父の声も聞こえてくる
なつかしさに目を細めていると
突然、歌声が途切れ
同じ子供の声が話はじめる

「キョウトヘ ムカッテ イチゴウセンヲ ニキロ...」

たどたどしい口調で文章を読み上げる声

「これ... オレ?」


 画像:映画.comより

テープから聞こえてきた自分の声
手帳に書かれていた英語のメモの内容
それが35年前に起きた事件とつながる
食品会社ばかりを狙った脅迫事件

同じころ新聞社に勤める記者阿久津(小栗旬)が
上司の指示でその事件を調べていた
35年前の事件当時は世間をにぎわせたが
とっくに時効になり
結局身代金の受渡しは失敗
犯人は一円も受け取っていない
死者も出ていない
そんな事件を今さら調べてどうするのか、と
阿久津は不満を口にする

ふたりはそれぞれ別の角度から事件を追う
やがてふたりが出会ったとき
ようやく事件の真相が見えてくる
35年前いったい何があったのか
犯人の目的は何だったのか
俊也の声を録音したのは誰だったのか
声が使われた子供は、俊也以外にもあと2人いた
その子どもたちはどうなったのか


 画像:映画.comより

映画の中のお菓子会社は「ギンガ」と「萬堂」
モチーフとなっているのはあのグリコ・森永事件
社長の誘拐事件に始まり
青酸ソーダ入りのお菓子
警察を挑発するような挑戦状
容疑者となったキツネ目の男
身代金受け渡し方法の指示をする子どもの声

現実には事件の真相は未だに謎
でも映画の中では"真相"が明らかになります
すべてが明らかになったとき
その声を録音した相手に俊也が詰め寄ります
このテープを見つけて苦しんだこと
今も苦しいこと
これから先もずっと
この罪を背負って生きていかなくてはならないこと
それが本当にあなたの望みだったのか?と

同年代の人の多くがきっと
まだ記憶に残っている事件
あの事件の真相はこうだったのかもしれないと
思わせる迫力がありました
何も知らずに巻き込まれた子どもたち
実在したあの声の子どもたちはどうなったのか
それを思うと胸が痛い

原作者・塩田武士が
犯人は「フィクション」だけど
犯人による脅迫状や挑戦状、事件報道は
極力史実通りに再現した
とコメントしているだけあって
とにかくリアリティたっぷりで
訴えたいことが明確で
心に残る作品でした

映画「罪の声」公式サイト

 予告編

公開:2020年10月

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