2020年10月30日金曜日

映画「チョコレートドーナツ」(原題:Any Day Now)

1979年 カリフォルニア
ショーダンサーとして働くゲイのルディ(Alan Cumming)
アパートの隣には障がいを持つ少年マルコが
母親とふたりで暮らしていた
母親が男を連れ込むたびに
昼夜問わず部屋の外へ出されるマルコ
ある日その母親がドラッグの所持で逮捕され
マルコは福祉局の職員がどこかの施設へ連れていく

気になりつつも日々の生活に追われていたルディが
夜中に街をひとりで歩いているマルコを発見する
施設を抜け出し家に帰ろうとして迷子になっていた

マルコを引き取って育てたいと奔走するルディと
弁護士のボーイフレンド ポール
たとえどんなにひどい母親でも
実母から子どもを引き離すことは簡単ではない
彼らがゲイであることが、さらにそれを難しくする

70年代に実際にあった話が原作
弁護士、判事、上司、福祉施設の人々
自分をまともだと思っている人が、実は一番やっかいで残酷
自分のものさし、自分の価値観でしかものが見られない人々
自分と違うものを否定し、憎悪し、攻撃する。
最後にポールから届いた手紙を読んだあの人たちは
この問題をどう受け止めたのか?

何が正しくて、何が間違っているのか
子どもにとって最適な環境とはどんなものか
それを判断するのは誰か

悲しいお話なので、泣くのは覚悟して
でもきっと見終わったら人にやさしくなれるはず



http://bitters.co.jp/choco/

公開:2012年4月


原題「Any Day Now」について

"Any Day Now" というフレーズは
劇中でルディが歌う "I Shall Be Released" の
歌詞の中にありました。

Any day now, any day now, I shall be released.

オリジナルはボブ・ディラン。
たくさんのアーティストがカヴァーしていて
シンプルでわりと短い歌詞なため解釈は諸説あるようです。
もともとはRubin Carter事件という冤罪事件の歌で
「今にでも、俺は釈放されるべきだ」と歌っているという説に
説得力があると思いました。

Released は"解放される"とか"自由になれる"とか、そんな感じ。

この映画の中で、ルディはエンディングを少しアレンジしていて

I swear, I swear, my love, we shall be released.

と歌っています。
 "I swear" 
「自由になれるだろう」ではなく
「自由になる、なってやる」と誓うこと。
そして "Any Day Now" というタイトルは
その日が遠い未来じゃなく
今日にでも、今にでも
という強い決意を表しているのかなと思いました。

2020年10月29日木曜日

映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」

 「人間は、恋と革命のために生まれてきたのだ」
大ベストセラーとなった「斜陽」の有名なフレーズは
実は愛人が日記にしたためていた言葉だった




「人間失格」という小説の映画化ではなくて
作家 太宰治の晩年を描いたストーリーです。
とはいえ、太宰作品はそもそも私小説っぽいので
リンクするがシーンも多々あります。

監督は蜷川実花。
さすがと言いたくなる「色」のきれいさで
どこでストップしてもきっと絵になるんじゃないかと思うほど。
画面がいちいちほれぼれするほどきれいです。
演出の方は...、やっぱりところどころ芝居くさいというか
「いかにもセリフ」的なちょっと残念なシーンがあったなぁ…と
でも、全体的にはOK👌
前作「ヘルター・スケルター」よりはだいぶよかったと思いますw

映画をみても小説を読んでも
とにかくどうしようもないろくでなしにしか思えない太宰治。
小栗旬が、このろくでもない太宰のろくでなし感を全面に出しつつ
女たちがなぜか惹かれてしまう魅力をうまく醸し出してたと思います。
一見、太宰にだまされ振り回され翻弄されているような女たち。
実は振り回していたのは女たちの方だったのかも?

妻に悪いと言いつつ愛人として生きる決意し
太宰の子を身ごもる静子=沢尻エリカ
愛人の存在を知りつつ
夫を天才と信じて家で待つ妻 美知子=宮沢りえ
妻にも静子にも嫉妬し、太宰を自分のものにするために
死を選んだ富栄=二階堂ふみ

特に沢尻エリカ演じる太田静子という人物は気になりました。
「斜陽」の人。彼女が書いた「斜陽日記」を読みたいと思いました。

突然現れた三島由紀夫=高良健吾!
太宰文学がきらいだと本人に言ったエピソードは
(タイミング違うようですが)実話だそうです。
三島由紀夫作品も読みたくなりましたw

あと、ちょっとしか出てないけど藤原竜也とのシーンも良かったです。

小説を読んでおくとこの映画が楽しめるし
この映画を見ておくと背景がわかってより小説が楽しめる
そんな気がしました。
太宰だけじゃなく、この時代の他の作家の作品も読みたくなりますよ。

http://ningenshikkaku-movie.com/

公開:2019年9月

2020年9月23日水曜日

映画「ブタがいた教室」

(ちょっと古い映画でだいぶ前に視聴済みだったのですが
 今を時めく北村匠海くんが出演していたという情報をキャッチして
 改めて再視聴)

6年生の担任になった新任教師(妻夫木聡)が
着任早々子豚を抱えて教室へやってくる
その子豚をみんなで1年間育てて食べようという

「命の授業」

教頭や保護者の一部の反対がありながらも
好奇心でどんどん前に進むこどもたちに
校長はGOサインを出した
Pちゃんと名付けられた子豚を育てるため
みんなで力を合わせて飼育小屋を作り
家から残飯を持ちより
休みの日も交代で餌をやり
掃除やフンの始末をし
台風の時には小屋の補強をしたりして
いつしかペットと化していく
「食べる」というのが最終目的だったはずが
愛情がわいてしまって食べることに迷いが生じる子どもたちに
卒業というタイムリミットが迫る

実話がもとになった話*
すごくすごく考えさせられる話です
そして最後までとことん話し合う子どもたちがリアル
みんな本気で涙しながら意見をぶつけ合う
どこまでセリフなのかわからない
この授業を受けた子どもたちも
この映画に関わった子役たちも
そしてこの映画を見た子どもたちも
きっと感じることがあるはず

命をいただくということ
その重みをずっしりと感じるお話です

*原案となった話:豚のPちゃんと32人の小学生―命の授業900日https://www.minervashobo.co.jp/book/b48474.html

公開:2008年11月




2020年9月6日日曜日

映画「ジョーカー」

アーサー(ホアキン・フェニックス)は年老いた母親と二人暮らし
小児科の慰問や町の商店の宣伝をするピエロとして働いてる
脳神経の障害があり、突然笑い出したら止まらなくなる
市の施設でカウンセリングを受けていたが
予算カットが原因で施設は閉鎖されてしまい
仕事も、あることが原因でクビになってしまう
そんな時、母親がいつも熱心に書いている手紙を盗み見て
ある"秘密"を知ってしまう
自分のこと、母のこと、父親のこと
今こんなにつらいのは何故なのか?誰のせいか?

「秘密」の真相にたどり着くまで二転三転あって
底なしに絶望していくアーサー
救いがなくつらく重たいストーリーです
内容的に万人には勧められない映画だけれど
「ピエロ」が象徴的に使われている演出と
とにかくホアキン・フェニックスの演技が見事
さすがのアカデミー賞主演男優賞です
圧巻です!文句なし!

本作を見る前に先にバットマンシリーズを見ておくべきか?と
検索して検討したところ、見なくてよいという結論でした
むしろ監督がこの映画を制作するうえで参考にしたと
公言している映画あるのでそっちを見ておくべき、とのこと
その2本が「キング・オブ・コメディ」と「タクシードライバー」です
どちらもロバート・デ・ニーロ主演作です
確かにどちらも本作とつながっている気がします
でもどっちも見てなくてもぜんぜん大丈夫です
「Joker」単体でもうじゅうぶんお腹いっぱいになります!

公開:2019年10月

https://wwws.warnerbros.co.jp/jokermovie/




2020年9月2日水曜日

映画「キング・オブ・コメディ」

Better to be king for a night than a schmuck for a lifetime.
どん底で終わるより一夜の王になりたい

コメディアンになるのを夢みる男ルパート・パプキン
大人気コメディアンであるジェリー・ラングフォードを
トークショー終了後に出待ちしているファンに紛れ待ち伏せる
熱狂して押し寄せるファンの盾となって彼を守るが
その混乱を利用して強引に車に同乗し、ジェリーに自分を売り込む
困ったジェリーはネタのテープを持ってきたら見てやると言って
ルパートを追い返す
だがジェリーに気に入られたと勘違いしたルパートは
テープをもって事務所を訪れる

ここからルパートの行動はどんどんエスカレートし
自分の世界が正しいと信じて疑わず
常軌を逸した行動に出る

このアブない男ルパートを演じるのはロバート・デ・ニーロ
ああ言えばこう言う的な問答の繰り返しで
とにかく強引でしつこくて迷惑で明らかにヤバい人
ろくでもない行動を繰り返し
逆切れでろくでもない事件を起こすのですが
ちょっと引いてみるとなんだか言いようのない哀愁が漂ってて
かわいそうで哀れでうっかり同情しちゃう
こんなやつに同情しちゃいけないと思いつつ
なんかもやもやしたものが残っちゃう
そこが一番アブないとこかも

ルパートが起こした事件の最後に言い放つのが
冒頭に書いたセリフです

「どん底で終わるより一夜の王になりたい」

こんな風に思っているということは
完全に正気を失っているわけではない?
実は全部わかってやっている?
ラストシーンは妄想か現実か
目に光るのはうれしい涙か、悲しい涙か...


日本公開:1984年5月
米国公開:1983年2月




2020年8月10日月曜日

映画「新聞記者」

ある日、新聞社に匿名のファックスが届く
大学新設計画に関する書類と謎の羊の絵
発信元を探る女性記者
情報操作するよう命じられるエリート官僚
計画の裏に隠された秘密とは?

松坂桃李が演じるエリート官僚が務める内閣情報調査室は
実在するものの取材がまったくできなかったという謎の組織なので
あそこで行われてた情報操作的なところはフィクションですが
実際にあった官僚による公文書改ざん問題と関係官僚の自殺や
レイプを告発した被害者女性に対するセカンドレイプなどが
形を変えて描かれているので
フィクションであることを忘れてしまいそうになります
本当にこういうことしてるんじゃないかと疑いたくなります

内容も演出も雰囲気も暗めで重め
やりきれない気持ちでいっぱいになるけれど
でもこの映画を見たことにより
実際の事件の方に興味がわいて
ちゃんと調べたくなります
なのでそれだけでこの映画を作った意味も、見る意味もあるかも

今年(2020年2月)のアカデミー賞で
最優秀作品賞/主演男優/女優賞の3冠を獲得した作品
なのにあんまり話題にならなかったのは
内容が反政府っぽいから宣伝されにくかったのか
それとも単に演出が地味すぎるからかな?

女性記者役は韓国出身のシム・ウンギョン
アメリカ生まれの日系人という役でしたが
なんでそういう設定なのかな?と思ったら
引き受けてくれる女優が誰もいなかったからとか
確かに反政府的ではあるけれど
それでも関係なくアカデミー賞取れるなら
この役やりたかったとくやしがっている女優が
実はけっこうたくさんいるのかも

私的には松坂桃李の上司役の田中哲司に
助演男優賞あげたい感じです
ものすごくこわいよー

公開:2019年6月

https://shimbunkisha.jp/



映画「孤狼の血」

舞台は暴力団対策法成立前の1988年(昭和63年)の広島
対立する二つの暴力団組織と
その間に入って脅したりなだめすかしたり
独自の方法でなんとか抗争を抑えようとするベテラン刑事 大上(役所広司)と
県警から赴任してきた大学出の若きエリート刑事 日岡(松坂桃李)

ある日暴力団組織の金庫番的金融会社の社員が失踪する
日岡は大上のめちゃくちゃな捜査方法に疑問を持ちつつも
圧倒的な行動力に振り回され巻き込まれていく

その年のアカデミー賞で最優秀主演男優賞を役所広司が
最優秀助演男優賞を松坂桃李が受賞していますが
ストーリーからみると逆じゃないの?と思ったり

役所広司や石橋蓮司やピエール瀧やら強面でいかにもな感じの人たちから
竹野内豊や中村倫也など一見優男なタイプの俳優さんたちまでが
予想以上にぶちギレててこわいこわい
まあとにかくあっちこっちで誰もかれも暴れまくり
あまりにエグすぎて、映画館で見なくてよかったと思いましたw

見終わった後どっと疲れます
薬局に勤めてる女の子の阿部純子ちゃんだけがちょっと癒しです

公開:2018年5月

http://www.korou.jp/



聴く本「サラバ!」上・中・下巻

Amazon Audibleで本を聴き始めて約2年半。 この聴く読書というのは ハマる人とハマらない人がいるみたいです。 で、今また2ヵ月無料キャンペーンをしているので 迷っている人はお試ししてみたら?と やんわりおすすめするために 私が最初に聴いた本を紹介します。 たまたま【朗...